写真は、去年筆者がベランダで種まきしてみたイタリアンパセリ、セージ、タイムの苗(種まきから1カ月くらいのもの)です。ローズマリーも育てていましたがここには写っておらず、残念です。すいません。

パセリ【Parsley】セリ科オランダゼリ属
血行をよくしたり、胃腸の調子をととのえるなどの薬効があり、葉の浸出液は髪の毛、皮膚、目の強壮剤に、葉・根・実は利尿作用、皮膚の老化予防、リウマチを緩和し、消化促進、出産後の子宮の筋肉を正常に戻す働きが。種子から抽出されるアピオールは、マラリアの特効薬であるキニーネの代用にも。ちなみにバラの近くで栽培すると、バラの生育状態と香りが良くなるそうです。

セージ【Sage】シソ科アキギリ属
通称“長生きのハープ”で、実はサルビアの仲間。ヨモギに似た香りと苦み、辛みがあるために肉の臭み消しに効き目が。殺菌作用があるため、うがい薬などにも利用可で月経不順と更年期障害の治療にも使われます。ただし妊娠中に大量に服用すると危険だったり、てんかんの引き金になることもあったりするらしいので御注意の程。

ローズマリー【Rosemary】シソ科ロスマリーヌス属
ハーブとして料理用に、興奮薬や塗り薬の成分として医薬品に、また香水にも使われます。葉には殺菌作用と酸化防止作用があり、脂肪の消化を促す働きがあるとか。花から採れる油は血行促進に効くことから、関節の痛みや筋肉痛を和らげるのに利用。西洋では結婚時、ローズマリーに新郎新婦の忠誠を誓いあうという古い習わしがある地域があるそうで、EDISON LIGHT HOUSEによる『WHERE MY ROSEMARY GOES』(私のローズマリーはどこいった?/邦題『恋の炎』)はそれに関係してる? 聖母マリアにも関係の深いハーブらしいです。

タイム【Thyme】シソ科イブキジャコウソウ属
芳香性の精油が含まれていて、興奮・殺菌作用があります。うつ病、風邪、筋肉痛、吹き出物用ローション、石鹸、うがい薬等に利用されています。また最近の研究により、免疫力の強化にも効果があることがわかっています。

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Scarborough Fair/canticle
Simon & Garfunkel
作詞:イギリス伝承歌/Paul Simon
作曲:
イギリス伝承歌
('66/SME)

are you going to scarborough fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme.
Remember me to one who lives there.
She once was a true love of mine.

Tell her to make me a cambric shirt,
(a hill in the deep forest green)
Parsley, sage, rosemary and thyme;
(tracing of sparrow on snow-crested brown)
Without no seams nor needle work,
(blankets and bedclothes the child of the mountain)
Then she'll be a true love of mine.
(sleeps unaware of the clarion call)

Tell her to find me an acre of land,
(on the side of a hill a sprinkling of leaves)
Parsley, sage, rosemary and thyme;
(washes the grave with silvery tears)
Between the salt water and the sea strand,
(a soldier cleans and polishes a gun)
Then she'll be a true love of mine.
(sleeps unaware of the clarion call)

Tell her to reap it with a sickle of leather,
(war bellows blazing in scarlet battalions)
Parsley, sage, rosemary and thyme;
(general order their soldiers to kill)
And gather it all in a bunch of heather,
(and to fight for a cause they've long ago forgotten)

Then she'll be a true love of mine.
Are you going to scarborough fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme.
Remember me to one who lives there.
She once was a true love of mine.

(JASRAC 出0311814-301)

「ツギはシュテン、シブヤ〜シブヤ〜〜! デシャとホームのスキマがアておりますのでゴチュイくださ〜い、ゴチュイくださ〜〜い!」
丁寧にも彼は、社内放送の前に電車とホームの隙間が空いていることを教えてくれました。ありがとうございます。助かります。ご丁寧に恐縮です。そんな気持ちもないわけではありませんが、こちらもこれから取材あるし、それが終わったら打ち合わせとか切れたプリンタのインクとか買ったりしなければならなかったりもするので、せっかく教えていただいたのに大変申し訳ないのですが、感謝の気持ちも伝えず無表情に電車を降りました。私以外の乗客も、普段の無表情をさらに無表情に……言い換えるなら「その無表情、舞台系の無表情!」という大袈裟すぎる無表情で、電車を降りてゆきました。きっと、みなさん、これから待ち合わせとかで会った友人に、または会社の同僚に「さっき、東横線に“電波”いたわ〜〜」と報告することでしょう。
 電車でこれだけしょっ中見るのですから、世の中には相当数の“あっちの国”の方々が存在していることと思われます。妖精の国に行かれてしまった方々。妖精の国で遊んでおられる方々。私たちが生きている世界の隣の席には、妖精の国が座っています。思うにそれは同じ車両であり、あまり特別なことではない。座ろうと思えば誰でもカジュアル感覚で座ることのできる、甘く危険な席なのです。
 今のような季節の変わり目は、そんな席についつい座ってしまいたくなるもの。そんなときに歌ってみていただきたいのが、今回紹介する『スカボロフェア』であります。イタリアの種馬でもあった男ダスティン・ホフマン主演のニュー・シネマ『卒業』。ホフマン演じるベンジャミンが赤いスポーツカーを乗り回すときに流れていたのがこの曲であります。英語でなんかゆっては「パセリ、セージ、ローズマリー、エン タ〜イム♪」(英語っぽい発音で)、そしてまた英語でなんかゆっては「パセリ、セージ、ローズマリー、エン タ〜イム♪」(もっかい英語っぽい発音で)。
 パセリ、セージ、ローズマリー、タイム……なんじゃそれ! ハーブじゃん! 二子玉とか自由が丘のガーデニングマダムっぽい、あれじゃん! なんだよ、年中昼下がりなのかよ! ハーバルタイムなのかよ!(寄り目)……そういう風に毒付く方もおられましょうが、ここはひとつ「パセリ、セージ、ローズマリー、エン タ〜イム♪」と歌ってみてください(ネイティブっぽい発音で)。なぜならこれは、妖精の国の住人になりすぎないための呪文であるからです。
 この『スカボロフェア』の原曲はマザーグース(イギリスの伝承歌やおとぎ話)。各スタンザ(一定の韻律を持つ詩の単位)は、おかしななぞなぞになっています。「彼女に○○してってゆっといて」の○○の部分が、まったく無謀だったり、ぜんぜん意味わかんなかったり、それやってどうなるのよ、というような無理難題であるわけです。これは、人間を異界に誘い込もうとしている妖精と、誘い込まれまいとする人間との間に交わされる“問答歌”といわれるたぐいのものらしいです。ちなみにパセリ、タイム、ローズマリー、タイムは死とつながりのあるハーブらしく、昔から妖精に対するお守りとしての効果があったといいます。つまり、魔よけの呪文なのです。
 でも、妖精ってフワフワの衣装着て、カワイイ杖とか持ったりして、悪い印象ないんだけどなんで?と思われる方もおられるかもしれませんが、イギリスのとくにケルトの民話では妖精は人間にいろんないたずらをします。カワイイいたずらもあれば、シャレになんないいたずらもあったりする。さらには、妖精の国が魅力的すぎて、電車でよく見る“あっちの国の住人”になってしまう人間も出てきたりする。ここで強引に妖精の国を“無意識の世界”とするならば、私どもが暮らしているのは“意識の世界”。多くの芸術はこの無意識の世界と意識の世界の横断で生まれてそうな気がしますが、だからといって、妖精の国に足をどっぷりはめこんでしまうのはどうかと思われる。電車とホームの隙間が空いていることは、東横線の車掌さんが社内放送で教えてくれるから、キミに言われくても大丈夫。ただし、その教えてあげたいというキミの気持ちはとても芸術的ですよね。どうもありがとう。
 つまり私たちは、妖精の国を遠ざけるでもなく、しかし入り込むでもなく、隣の席のように上手に付き合うべきなのではないでしょうか。自由に行ったり来たり、そんなことができるなら、これほど素晴らしいことはない。『スカボロフェア』の4つのハーブの繰り返しが、その呪文のように聴こえるのは私だけでしょうか。また、この歌を土台にしてベトナム戦争への反戦を唱える替え歌を作ってしまったサイモン&ガーファンクルの『スカボロフェア/詠唱』での場合は、戦争へ駆出される兵士たちへの死への魔よけ、そして戦争という気の触れた世界へ入り込みすぎないための呪文として聴こえなくもない。人が人を殺すという行為は、やはり意識が“あっちの国”にいってないとできることではありませんから。
「ツギはシュテン、シブヤ〜シブヤ〜〜! デシャとホームのアダがアておりますのでゴチュイくださ〜い、ゴチュイくださ〜〜い!」
次に電車で彼らに会ったときは「パセリ、セージ、ローズマリー、エン タ〜イム♪」と言ってやろうかと思いましたが、それはそれで妖精の国の人っぽいので、心の中で歌うだけにしてみます。もちろん無表情で。


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