あけましておめでとうございます。みなさんは今年に入って何を忘れましか? 人間は日々いろんなことを忘れて生きているわけですが、私クラスになってまいりますと、トイレットペーパーを買いに行ってなぜかポーラスヘア用ヘアケア新製品を買ってきてしまっても「それは私の脳が忘れるように導いた生体防衛反応であって…」とかいって、あまり“忘れ”を気にしなくなってまいります。屁理屈、とはよく言ったもので、毎日毎日、何かを忘れては屁をこいて自分を納得させ、クサいニオイで「い〜ぎ〜が〜で〜ぎ〜な〜い"〜」と息を吸いながら声を出す遊びをしたりしてひと笑いです。
さて“忘れたくないのに忘れてしまうこと”“忘れたいのに忘れられないこと”…“忘れ”には実に様々な種類がありますが、こと恋愛に関しては男女相違がありますよね。たとえば、なんであんなに男性は過去のことをいつまでも覚えているのでしょうか。「お前、アホか」と思う程、男性は過去の恋愛を事細かに覚えています。それに対して女性というのは“今”のみです。今、誰を好きか。仮にそれがすでに別れてしまった男子のことであっても“今も好き”だからそれは“今”なわけです。で、次に好きな人ができると、もうそれだけになります。私はインタビュー取材とか、そういう“人の話ばかりを聞く仕事”に従事しているため、なぜかプライベートでも人の話をものすごく聞いてしまう癖があり、これはそういう統計結果から導き出された、あんまし根拠のない論なんですが、まぁ、遠からずでしょう。
男子は過去、女子は今。では、なぜ男子は過去を忘れられないのでしょう。その謎を解き明かす楽曲が、今回紹介するボニー・ピンクさんの『Forget Me
Not』です。
まず、歌詞の最初の方を見ていきましょう。<とても退屈だから彼を呼び戻す計画を聞いて>という“私”は<But I know the trick of
finding him even in a beehive(でも彼を見つけだす方法を知ってる たとえ彼が蜂の巣の中にいたってね)>…え! なんで分かんだよ!と男性はビビるかもしれませんが、女子つーのは、とにかく勘が働いてしまう生き物なのです。女性と男性の脳を比較すると、女性の脳は左右両半球の間にある脳梁が太いため左右の連絡がいい。一般に左脳は言語理解や分析的・論理的な思考を司る学者脳。右脳は直感的・総合的に物事を考えたり想像的かつ創造的な活動を司る芸術脳といわれています。で、この左右の連絡がいいということは、言語、分析、感覚、感情…と、左右を総合的に使うことになります。そんなわけで女性は男性よりも「察知力」にたけてしまっているらしいのです。そこでここに出てくる“私”も、愛は複雑だと思いつつも、彼のことならなんだか分かってしまうのかもしれません。
そして大事なのは、この“私”の<plan(計画)>です。彼女はベッドの中に忘れな草(英名:Forget me not)を隠します。忘れな草……なんつー名前なんだ! なんで“忘れな”の“な”で止めるかな。本来は“忘れないで草”だろが。ちなみに、この花の名前の由来はドイツに伝わる有名なお話。ある日、ドナウ川を歩いていた男女が、川のほとりに忘れな草を見つけました。それを見た女子の方が「ちょ〜キレイだし!ほしいし!」と言うので、男子の方は「俺、余裕で採ってくるし!」と言って、花を摘もうとしますが、川に流されてしまいます。ブワ〜ッと川に流される男子が、流されながら女子にこの花を投げて叫んだのが「Forget
me not!(俺のこと忘れないでほしいし!)」……うんむ〜〜〜! 忘れんじゃねえかな〜〜!? 次に誰か好きになったら!
で、そんないわく付きの花を、“私”はベッド中に隠していきます。<everywhere He can smell forget me not(彼は至る所で忘れな草の香りをかぐだろう)>…かぐ、という言葉を使っているので、もしかすると本当に花を隠したのかどうかは分かりません。実態はないけど“忘れな草的”なものを隠したのかもしれません。さっきの脳の話に戻りますが、左右脳の連絡にたけた女性と違って、男性の脳は圧倒的に右脳が発達しているそうです。男性が女性より動物的なのはこのせいかもしれません。したがってベッドという動物本能むき出しな場所にそんな花を残しておくのはかなり有効なのです。“私”はそれを理屈抜きに知っている。<I
hope the scent of forget me not will make him really uptight(彼が忘れな草の香りで とことんイラだってくれるといいのに)>…男性にとっては、そら恐ろしい歌詞に聞こえるでしょうが、これ、女性は「分かる!」なはずです。ぜいぜい、居なくなったときやっと分かりくされ!くらいに思うわけです。<He
never promises me so I can never blame what he'll do(彼は決して約束をしてくれない だから私も彼のすることを責められない)>…概して男性は女性に約束をしません。破ったらいけないと思ってるからしないのでしょうが、女性は“今”しか見ていません。今言ったことが大事だし、それが未来に破られたとしても、言った事実が残っていればそれで満足だったりもします。
特に責めないけども、忘れな草は置いてくぜ。どんな女性もこういうマジックを本能的に持ち合わせていることを、男性はよく覚えておいた方がいい。あたなが、過去の女性をいつまでたっても忘れな草なのは、その女性たちが、あなたの知らぬ間にベッドの中に忘れな草をしこんだからです。そうやって無意識にベッドに忘れな草をしこんでいく女性も、それを無意識にかいでいる男性も、なんだかとても可愛らしく思えるのは私だけでしょうか。屁も忘れな草も、たとえそこに実態がなくても、男女間の、男女差による、何かどうしようもないスレ違いの思いを、それぞれちょうどいい引き出しにしまってくれる効果を持っている……といったらば、また言い過ぎの妄想でしょうか。今回は私も文末に忘れな草をしこんで去りたいと思います。「Forget
me not〜〜〜〜!」(オノ・ヨーコさんのコーラスみたいなオモシロ絶叫声を息を吸いながら)
|
vol.7
|
忘れな草(04.1.17発売「BARFOUT!」掲載)
|